自分の将来についての好奇心と不安が入り混じった問いは、どんな世界に身を置いていても頭をもたげることがあるのではないかと思うのですが、ご多分にもれず自分も今から数年前、こんなことを考えていました。まだ10年ちょっとですが、自分のこれまでの研究…
皆さん、ご無沙汰いたしております。いま、私はアメリカ・マサチューセッツ州ボストンにあるハーバード大学ヴィース研究所(Wyss Institute)のPeng Yin研究室でポスドクとして研究しています。現在の研究テーマはざっくり言うと、DNAをツールとして使って、…
半年ほど前に話題となったNASAの研究チームによる「リンの代わりにヒ素をDNA中に取り込む微生物が見つかった」という報告ですが,発表の直後から科学的な批判にさらされてきました.そしてついに先週の金曜日,元の論文が掲載された科学誌Scienceに,他の研…
Enterobacteria phage T4.壁紙画像(1920x1080)はこちら Michael D, Jones氏作成のSVGデータを改変して作成しました.この画像のライセンスはCC BY-SA 3.0に準拠します. アポロの月着陸船や宇宙探査機にも見えるこの物体.実は細菌に感染するウイルス,通…
Potassium channel KcsA from Streptomyces lividans in high concentration of K+緑色の球はカリウムイオン,赤色の球は水を表している.壁紙サイズ(1920x1080)の画像はこちら ナノの世界で生き物を見ている私にとって,「生き物らしさ」と言われて思い浮…
2011-03-19追記 林松涛([twitter:@tao1tao])さんが,本記事を中国語に翻訳してくれました. 被ばくの不安を抱えている在日中国人の方や,日本に家族・親族・知人がいて心配されている中国の方に,中文版の記事を広めていただければと思っています.「受到…
「NASAが宇宙人を発見か?」と話題になった「宇宙生物学上の画期的な発見」とは,「リンの代わりにヒ素をDNA中に取り込む微生物が見つかった」というものでした.詳しい解説記事を書く時間はないので,発見のポイントを一枚の画像にまとめてみました.世界的…
明日,2010年10月6日はノーベル化学賞の発表日だ.ちょうど1年前,自分の専攻分野からノーベル化学賞が発表され,勢いにまかせて別ブログに解説記事を書いてみた. 徹夜明けの僕が語るよ「日本で二番目に早いノーベル化学賞2009解説」本ブログの方が記事を掲…
ここまで4人の仕事を解説してきたので,最後に「リボソームの構造と機能に関する研究」が生物学にどのような影響を与えたか,授賞のポイントとなったであろうインパクトについて解説する. 1. 基礎生物学的に大きな意義 今回の研究は,DNA→RNA→タンパク質と…
ここまでのおさらい ノーベル化学賞2009はリボソームの構造と機能について.Steitz(シュタイツ), Yonath(ヨナス), Ramakrishnan(ラマクリシュナン)の3人が受賞.リボソーム:細胞内にあるタンパク質合成装置.mRNAの情報を読み取り,アミノ酸を順番に…
先日掲載した『人工細菌誕生』の論文を解説してみるに対して,「公開後1年以内の論文について,解説・講義などを公開することはモラルハザード*1だ」という指摘のメールが届いた.自分としては寝耳に水の内容だったのだが,確かに公開されているとはいえ,商…
友人([twitter:@iwasakiw])に教えてもらったのだが,私は今日(2010年6月21日)で生誕10000日だ.
これまでの2回の解説で,人工ゲノムの合成法とその移植について,実験内容の概略を説明した.最終回の今回はいよいよ,この論文解説の中心である「『人工細菌誕生』は何がすごいのか」について解説する. 考察:「人工細菌誕生」という研究の意義 結果の後に…
前回は,Mmゲノムの人工合成法について解説した. 今回は実験内容と結果の続きとして,Mmゲノムの移植による人工細菌の創出と,「半合成ゲノム」を持つ細菌の創出の2つについて解説する. 研究の流れ2:Mmゲノムの移植 図3. 人工合成Mmゲノムの移植と人工細…
これから2回のエントリで,実際に行われた実験内容と結果について解説する.専門的な内容が続き,つまらないかもしれないが,実験内容の理解なくして,意義の理解はありえないので,ご容赦願いたい. 研究に使った細菌 この研究には,2種類の細菌が登場する…
5月20日,アメリカの科学論文誌Scienceに「人工細菌誕生」という論文がオンライン掲載された. Creation of a Bacterial Cell Controlled by a Chemically Synthesized Genome Gibson. D. G. et. al. Science. May. 20, 2010 (online) この研究成果のインパ…